『隠し剣 鬼の爪 /山田洋次』
これほど庶民と合致した監督はいないにも関わらず、私は今まで一度として彼の作品を見たことはなかった。
幼少期に見た『幸福の黄色いハンカチ』はうろ覚えであるし、寅さんなどはいつも途中で寝てしまう。
だから、今回が初めて彼の作品を見たことになる。
うーん、多分僕の考える映画って多分こういうことなんだろう。
そういう感想を持つ。
今作について言えば、その本題である“隠し剣”は先入観の派手さ、豪快さは全くなく最後の最後まで出てこない。考えてみればそういうものかもしれないが、それでも出された瞬間はカッコいいっと思ってしまう。
彼の作品はここがどうだとか一々指摘は出来ない。それは凡庸さという感覚をも受けるが、一方でテーマン等が一貫しているともとれる。
身分、恋、笑い、人情。そういった姿・形は変われど本質では変化のない事に重点を置き、描こうとしている。
そしてそれが彼であり、ある種の映画なのかも知れない。
一つだけ挙げるとすれば彼の時間の取り方が気になった。それはラストシーンで永瀬が松たか子に求婚の返事を待つ間でもわかるが、人の感情と言うのを時間の描写なしのワンカットに収めてしまい、かと言って長い時間を要しているわけでもない。全てが役者の演技のメリハリだけで表現している。そしてこれが異質に見えただけに凄い!事なのか駄目な部分なのか良くわからず唯ゝ気になった。
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