『NIN×NIN 忍者ハットリくん THE MOVIE /鈴木雅之』

shinka2005-11-24


偏見はやはりいけないものです。
最初は全然見る気がなかったのですが、時間があったので見てみると大変良かった。

やはり、お話がというか脚本が良く出来ている。
次への展開が小刻みにテンポ良く配置されていて興奮冷めやらぬ二時間だった。

特に中盤のハットリ対ケムマキの所から主人公の少年の成長の所までは物凄い。
少年がブリーフ一ちょうで缶を蹴飛ばすシーンが何故か良く見えるのも一つ。

この映画の感想は大体同じような内容のものが目に付く。

①オープニングのスタイリッシュなCG!これから楽しみだと思った次の瞬間、ほっぺに渦巻きで「ニンニン!」。あれっ?やっぱりマンガのままか?・・・そうです、マンガのままです。設定のムリはほったらかしたまま現実的なのか非現実的なのかわからんような事件が起きて、あの風貌でマジメなこと言われても・・・って感じで、違和感アリアリでした。やっぱ渦巻きはなくてもいいんじゃないの??それにマンガのハットリくんはもちろん子供。でもこのハットリくんケムマキもいい大人じゃないか!やっぱ渦巻きは妙・・・。おバカ映画と言うより“子供だまし映画”だね。

②映画は、森の中での忍者同士の激しい戦闘シーンから始まる。迫力十分なアクション、スタイリッシュに使われたCG、ビートの効いた音楽──正直、「……ヤベエ、カッコいいじゃん」と、この私でさえ思いかけた。

ところが、スクリーンを飛び回った青い忍者服の主人公が覆面を取ったとき、その下にはほっぺたに赤いうずまきを書いた香取慎吾の顔が……。そして彼は、ノーテンキな笑顔でこう言うのだ、「ニンニン!」。

この瞬間、この映画の方向性は決まった。すべてのカッコよさをぶち壊す力のあるあの頬のうずまき、そしてニンニン。

〜個性的すぎるキャラクターの中でも最大級に奇妙なルックスの主人公、ハットリくんは、新幹線のぞみよりも早く走り(おいおい……)、スパイダーマンよりも軽やかに東京の空を舞う……ニンニン言いながら。なにもかもが、たいへんカッコ悪い。

というようにかなりの酷評が目につく。
しかし私自身そのようには思っておらず、というかとても良い作品だと思うのだが。
−この瞬間、この映画の方向性は決まった。すべてのカッコよさをぶち壊す力のあるあの頬のうずまき、そしてニンニン。−
確かにその通りだ。しかし、それは決して否定的な意味で捉えるものではない。
カッコ良くて、でもやっぱりカッコ悪く、時に過剰すぎる演出で、破綻もしている。
だからこそいんじゃないか。だからこそ一番見なくちゃいけない点が浮き上がってくる。


最近、思うのが映画というのは人間のようなものではないかと。
だからある種の破綻性がないと逆に成り立たない。
対象が人間である以上、絶対的に人間に頼らないと映画は成立し得ない。
しかし、人間は矛盾を含んで生きるものである。
より代自体曖昧であるがゆえ故に映画もまた曖昧な部分を含まずにはいられない。
しかし、だからこそ見えるものがり、それが映画なんじゃないかと思っている今日この頃。