『エリザベスタウン  監督/キャメロン・クロウ』 

shinka2005-11-23


今回も騙された。
映画の予告ってなんでいつも本編よりも良く見えてしまうのだろう。
多分、予行編というのは製作会社が作っているから、そこでセンスが違ってきたり、
又単純にいいとこ取りだったり、
あるいは観客の「これは予告なんだから本編はもっといいはず」という微小な映像の拡大解釈・個人化なんだろう。

今回の話は「父と子」というテーマで描かれると思ったのに、全然そんなことはなく
それよりは「失敗とは成功しないことで、大失敗というのは人生を揺るがすほどの損害」
であり、「しかし、大失敗は大きなリスクを背負ったからこそ成ったもので恥じることではない」というような事を言っている。

だからなんだ。

個人的な希望としては『ビック・フィッシュ』や『海辺の家』のように壊れかけの「父と子」の交流を望んでいただけにショック。
しかも、そのテーマを扱わなかったのではなく、表現出来てなかったというのが痛い。
恋、家族、愛、生と死、そして死んで消えた人物というのを残された人がどう扱い、その後を過ごしてゆくかということ。
確かに、葬式を一つの祭りのように捉えるという考えは素敵だが、それにしても多くのことを描き過ぎて散漫になってしまったという印象を拭えない。

大体、海外の宣伝方法というのは見えないものだから、この作品が何流のものであるか見当がつかない。
そのため、物凄く期待してみたのに、酷いものを見てしまったという経験は誰にしもあるだろう。
自分自身もそうであるが、他の意見から言えば何流であろうが、見てからでしか判断は出来ないし、階級によってその取り扱うものがカルチャーによる差異を受けると判断するのは早合点、第一それは海外作品に対する侮辱と自分の無知さを露見していると言っても仕方がない。

ヒロインはミスキャスト。そしてでしゃばり過ぎで、もっと補佐的にすれば良かった。
この作品で一番良いのは母親の告別式でのスピーチ。
まぁ、あんだけやってくれれば、あざといとしても満足だ。