『ヨコハマメリー /中村高寛』

shinka2006-06-29


作中、インタビューされる老人立ちが言う「映画」という表現が気になる。
「私ら娼婦の相手は大体ヤクザか、警察だったよ。ほんと映画、映画だよ。」
映画、この場合フィクションのような世界がそこにはあった、という具合のところだろう。

映画は記憶だ。

劇場は神戸アートビレッヂセンンター。
初めて行ったところだが、中々の好印象。それはスクリーンが暗転すると何も見えない暗闇があるから。最近のシネコンでは避難経路確保のためや、足元灯のために完全な闇という状況をつくることは難しくなっている。だから今回は最初その暗さに驚いてしまったが、闇というのは光というものよりも早く、深く安穏できるものである。
また、同センター内のアートスペース(なんでもかんでもアートと付けるとチープになる;言葉の反復の法則)で映画で使用された森日出夫の写真が展示されていた。しかも入場無料。こんな贅沢なことはないと写真展に入るも、元来そのような場にあまり出かけたことがないので、どのように写真を見ればいいのかわからず固まってしまう。仕方がないから写真との距離を楽しむことにした。