『亀は意外と速く泳ぐ /三木聡』から見る日本映画

ゆるい。劇中、叫んでしまう程のゆるさだ。
日本映画の落ち着いた雰囲気ではなく、忙しなくともダラ〜としているの。
いいのか、これ?


監督は『イン・ザ・プール』の三木聡
ちなみに彼の処女作は『イン〜』ではなく、『ダメジン(2004年)』という作品。
作中、見覚えのある笑いと登場人物が気になる。思い出してみると、それは時効警察に出ている岩松了ふせえりのコンビ、さらには緋田康人ではないか!?
調べて見れば、やっぱり三木が脚本・演出をしている。
最近、こういうのばかり。劇団じゃないんだからお抱え状態じゃん。

三木はさらには、
夕やけニャンニャン
タモリ倶楽部
トリビアの泉
ダウンタウンのごっつええ感じ
ジャングルTVタモリの法則〜
笑う犬シリーズ
明石家マンション物語
・TV's HIGH
シティボーイズライブ等の脚本・演出

などを手掛けTV・バラエティ界ではかなりベテランらしい。

余談だけど、三木が担当したものに「優香座シネマ『お湯は意外とすぐに沸く』」(テレビ朝日、2003年)というものがある。このタイトルを見るとわかるのだが、まさに今回の映画のタイトルと一緒である。さらに時効警察のサブタイトルも一話目は「時効の事件には、おいしい御飯の湯気が似合うと言っても過言ではないのだ」 だし、二話目は「偶然も極まれば必然となると言っても過言ではないのだ!」というもの。おわかりのように三木はタイトルに関して、“意外”と“長い”が関連してくる。
そして話は飛躍するが、この特徴は今作の映画にも当てはまる特徴である。
つまり、三木は自分が好みで映画を“制作”しているのだ。
おもしろいわけがない。
いくらTVのほうでは散々お世話になってるからと言って、こればかりはしょうがない。


前々から言われているが、今や映画は映像化している。
テレビ制作会社・制作者がドンドン映画の分野に入り込んでいる昨今、もはやTVと映画の違いはなくなっている。そんな事は知っていると言う人も今一度見回して欲しい。驚くほどのその状況は浸透し、網羅している。
このままでは、将来の日本映画はもちろんの事、110年前からの映画の定義さえ揺らぐ自体に成りかねない。しかしながら、この状況はそう易々と改善されない問題である。早急にこの手の映画を違う映画だという認証・名称を与え、さらには映画人に対する配慮と尊敬するべきである。
他力本願。だな。