『小林賢太郎プロデュース公演 「LENS」』                  

shinka2005-12-03



                 
はっきり言って「LENS」の世界は公演前から構築されている。
例えばそれは、ビラ等の宣伝方法であったり、椎名林檎の『百色眼鏡』のキャラクターであったりと、それは前情報によってある程度固定されてしまっている。
要するにあの姫君達が萌える時代と設定である。
けれども今回の公演ではその設定を着実に守っていない。
というよりは、それをネタにして利用して途中からはいつも通りのドタバタ劇に移行している。

OPの影絵は手法としてもおもしろいし、そのつもりで来ている観客達に対しても期待を裏切らない形にはなっている。唯その後の展開はいつのまにかに現代語、笑いが飛び交う話に摩り替えられている。


今回、[KKP]に主要役者である片桐仁は出ていない。              
それは残念であると同時に、「勝負に来ている」と考えていた。片桐仁はいい役者である。しかし、小林賢太郎と組む彼はどうしても演じきれない分野というものが発生してしまう。つまり「計算通りの、他の要因の介在を許さない演技」
そして、それが今回の公演で求めれている事であり、片桐を出さない理由だと思っていた。
しかし、本編はいつもの如くアドリブ・アドリブ・客とのコミニケーションで成り立っていた。それならば、片桐は出してもいいだろうし、出さないのならば真面目に通り組んでくれよ。

大体において探偵者をやるには話が浅すぎる。
小林はあらゆる手法・ジャンルを解体し、自分のものにするのは上手いが、どうにも今回の推理・ミステリーは手に負えていない感じがする。あるいは、「主人公である天城が説明不足の推理をする」という設定のため話にミステリー特有の後半の盛り上がりが盛り上がらない。そして、それも事もあろうに利用し役者に語らせて強引に清算しようとしている。


でもまぁ、おもしろかった。多分好きなんだろうね。
このお話は『百色眼鏡』で探偵をしている天城が何故探偵になったのか、何故あの刑事と組んでいるのかというエピソード0を果たしている。その話として強引ではあったが良かったとは思うし、同時に続編が見たいと思ったのも、どこかでこの話を好きである事と、期待があるということなんだろう思う。




・「Good Design Company」

それにしてもGood Design Companyのセンスは好きだな。
ラーメンズの公演は殆ど担当しているけど、他にも有名な宣伝もしている。
gooddesigncompany




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