『ゆれる /西川美和』

この映画そのものが川のように常に流れていて、ゆるやかにそして激しく下へ下へ流れる。
主人公の心情に焦点をあてる。人間の心情の動きを掴む。
そういったコンセプトが全体に滲み出でているようなわかりやすい構造。
その点で言えば、はっきりいって90%の部分は普通の映画でした。
ただ残りの5分程が話の内容、構成とかそんなものを抜きにして物凄かった。
緩やかに流れていた川の水が一つの段差を超えた瞬間、ダダーと急に速度を増し、一気に下まで落ちてゆく。
前半はこことのコントラストを出すためのフェイクか。
それにしては安易過ぎるような構成と音楽。
ただ、あの5分を唯の話の展開で起きた盛り上がりと捉える事は簡単な事だが、
何か“最後”という気迫を感じさせられた一つの奇跡に思えたのは私だけであろうか。