『七人の弔  監督・脚本/ダンカン』

shinka2005-09-15


一言、見せ方が上手いと思った。

開始早々、ダンカンがこの映画の軸となる『このキャンプは子供の臓器を売るためのイベント』という事を早々にもばらす。その後、映画はそのベースを踏みながらも淡々と進んでゆく。話が話を呼ぶのではなく、唯ひたすら、登場人物の気持ちと同様、映画もどう動いていてゆくのかをジッと待つ。
そして、観客がジッと堪えているその中で、お話は−登場人物が−自然発生的に動き出し、そして話の歯車も動きだす。
とても自然に、そして不気味なこの流れは、とても素晴らしい。


この作品、常に真ん中に一本線が引かれている。そしてその絶対的な境界線によって分かれた二つの世界をひっくり返し、それによって生まれる矛盾点をダークにユーモラスに描いている。初め、設定だけ聞かされたらとても暗く、恐ろしい映画と思いきや、結構皮肉ってて、なかなかのブラックジョークな笑える映画である。

しかし、後半が良くなかった。まず、前半の丁寧な撮影に比べて、後半の撮影は少し崩れてきている。特に少年リーダーに全てを告白するシーンは、演出もカット割りも少々頂けない域にまで行っている。
それに、話の落ちも読める。上記で境界線の対立する二つを逆転と言ったが、最後は又その二つ逆転させてしまったもんだから、キレイ過ぎる。話的にはキレイでスムーズなんだけど、それがなんの捻りもなくて、逆に心持煮え切らない気持ちになる。

余談だが最後、子供たちに『君たちに道はない』と最終告知をするダンカンが、唖然とする子供たちを尻目に振り返り帰るシーン。このときのダンカンの表情が北野武にそっくりで!それまでも白いシャツや表情、言葉遣いは北野のパロディーというか乗っているだけと思っていたのに、そのシーンに来て、凄い!と思ってしまった。

それにラスト、子供たちがバスで帰るときにあの日本子供昔話のED曲を歌わせる演出は、正直鳥肌ものでした。怖い、酷い、凄い!!良くやった、ダンカンと感動いたしました。

まぁ、それでも僕は好きな映画です。是非、御鑑賞あれ。